ページランク・スカルプティングから、現在のSEOに重要な要素を考えてみる。

ページランク・スカルプティングから、現在のSEOに重要な要素を考えてみる。

海外のSEO業界では、ページランクスカルプティングの件で賑わっていて、鈴木さんのブログでも詳細が解説されてきましたので、皆さんご存知のことと思います。

ページランクスカルプティングはもともと、数千のページをもつようなサイトで、思うように検索エンジンにクロールしてもらえないような末端のページにリンクジュースを流し、ロングテールを拾うのに効果的だと言われてきました。SEOmozの記事でも「これまでかなりの効果が確認されてきた」と書かれています。

Basically, PR sculpting is useful on large domains, with thousands of pages and issues getting those deep pages enough link juice (PageRank) to stay in Google’s main web index and appear for long tail search queries. Historically, in our consulting business, we’ve experienced terrific results sculpting the flow of PR to deep pages and growing the indexation rates of those sites.
“Google (Maybe) Changes How the PageRank Algorithm Handles Nofollow”

つまり大掛かりなサイトの運営者用の施策といえるもので、ぼくのような個人サイト運営レベルではあまり関係ないことなので、これまでは情報を確認する程度だったのですが、今回のページランクスカルプティングに関するアルゴリズム変更の発表に伴って、いといろと考えてみると、現在のそのほかの重要なアルゴリズムとの関連性が見えてくる気がします。

まずは、ページランク・スカルプティングとその変更の経緯について簡単に見直し、そこから出てくる疑問点を見てみます。

ページランクスカルプティングとアルゴリズム変更の経緯

ページランク・スカルプティングとは、一部のリンクにnofollow属性をつけることで、リンクジュースを温存し、nofollowの無いリンクに温存した分のリンクジュースを流すこと。そうすることで、一部のページにリンクジュースを集めて、そのページを上位表示に有利にするというものです。

これはSEOをする側にとってみれば、自分のサイトのなかで、より売上を上げてくれそうなページにリンクジュースを多く流すことが可能なので有利だと言われてきました。

Googleサイドとしても、SEOがサイト内のどのページが重要なのかそういう形で知らせてくれるのは、助かるとまでは言わないまでも、まぁ悪いことじゃないしやりたければやってくれて構わないよ、というような姿勢でした。

GoogleのMatt Cuttsも過去に何回か、PageRankをコントロールするのにnofollowを使うのは正統な手法だと発言しています。
「PageRank Sculpting(ページランク・スカルプティング)は、ペナルティを受けるのか」

しかし、このたびのGoogleの発表によると、nofollow属性のついたリンクのリンクジュースは温存できずに消滅してしまうようにアルゴリズムは一年も前から変更されていた、とのことです。

この辺の経過は全て鈴木さんのブログで書かれていますので、そちらに譲ります。

ちなみに、混乱を避けるために書いておきますが、ページランクやアンカーテキストを渡したくないリンクにはこれまでどおりnofollowタグは有効です。ただ単に、その分のリンクジュースを温存できないだけです。これは、今回のマットカッツの記事でも再確認できます。

Nofollow links definitely don’t pass PageRank. Over the years, I’ve seen a few corner cases where a nofollow link did pass anchortext, normally due to bugs in indexing that we then fixed. The essential thing you need to know is that nofollow links don’t help sites rank higher in Google’s search results.

ここで、2つの疑問がわいてきます。

疑問①: なぜページランク・スカルプティング、つまりリンクジュースをコントロールすることが出来ないようにGoogleはアルゴリズムを変更してしまったのでしょうか?

マットカッツの答えは以下のようなものです。

For one thing, some crawl/indexing/quality folks noticed some sites that attempted to change how PageRank flowed within their sites, but those sites ended up excluding sections of their site that had high-quality information (e.g. user forums).
「一つの理由として挙げられるのは、ページランクをコントロールしようとして、質の高い本来インデックスされるべきページ(例えばユーザーフォーラムなど)にページランクを流していないサイトがあることに、我々は気付いたからです。」

しかし、この説明だけでは不十分です。

なぜなら、どのページを上位表示させたいか、インデックスさせたいかの選択権はサイト運営者にあるはずですし、nofollowが存在する限りインデックスさせたくないページにはnofollowをつけて今後もリンクするでしょう。

この発言でも「for one thing」と言っているように、他にも理由はあるはずです。

SEM-リサーチの渡辺さんも、「PageRankスカルプティングの否定は、Googleガイドラインの趣旨と矛盾するから?」という記事で、マットカッツの今回のブログ記事の内容に対して以下のように書いています。

そもそもの経緯を考えるとここに書いてある理由はとりあえず後付けで作ったものに過ぎず真実は書かれていないと思います。

この記事は、アルゴリズム変更の理由を考える上で参考になります。

疑問②: このアルゴリズムの変更は一年前から実施されていたとのことですが、なぜ誰もこのことに気付かなかったのでしょうか?(なぜ、ページランクスカルプティングが有効だと思っていたのでしょうか?)

上記のように、SEOmozのRandでさえつい先日まで、効果が確認できていると言っていたほどです。

上記2つの疑問を、現在確認されているほかのアルゴリズムと併せて考えると、以下のような仮説が考えられると思います。

疑問①に対する仮説: 『リンクジュースをコントロールして、重要なページを教えてくれなくても、Googleは他の様々な要因から、ウェブページの重要性やリンクの価値を今まで以上に判断できるようになった。』

つまり、単純な被リンクの数や流れるリンクジュースの量よりも、他の要因を今まで以上に重要視するようになったのではないかということ。

疑問②に対する仮説: 『nofollow属性をつけたリンクのリンクジュースが蒸発してしまうとしても、これまでのページランクスカルプティンで実施していたようなnofollowの使用はそれなりに有効性がある。』

これは、本来ページランクスカルプティングはリンクジュースのコントロールを目的として行っていたわけですが、そのつもりで使っていたnofollowタグが、リンクジュースのコントロール以外の理由で効果を発揮していた。だから、みんなページランクスカルプティングが有効であると思って疑わなかった、という仮説です。

以下にそれぞれの仮説の根拠となり得る要素を見ていきます。

疑問①に対する仮説

『リンクジュースをコントロールして、重要なページを教えてくれなくても、Googleは他の様々な要因から、ウェブページの重要性やリンクの価値を今まで以上に判断できるようになった。』

この仮説が正しい場合、単純なリンクジュースの分配をもとにしたページランクという要素を今までほど重要視しなくても、ページの重要性を見極める自信がGoogleにはあるということです。

以下がこの仮説の根拠となり得る要素です。以下にあげているような要素が強まるにつれ、相対的にリンクジュースの分配をもとにしたページランクの重要性は弱くなることになります。

根拠①:オーソリティサイトのページの評価が高い
ビッグブランドや、オーソリティサイトのページの上位表示が最近目立つといわれています。SEOBookをはじめ、さまざまな海外SEOブログでも取り上げられています。鈴木さんのブログでも「Googleはブランド物がお好き?」として解説されました。

根拠②:オーソリティサイトからリンクをもらっているページの評価が高い
つまり普通のサイトから10のリンクジュースを受け取っているページより、オーソリティサイトから10のリンクジュースをもらっているページのほうが評価されている。

これはもともとそうなんですが、最近特にその傾向は強くなっているように思えます。

根拠③:テーマの関連するページからのリンクの評価が高い
テーマの関連するページとは、キーワードや関連語句が本文中、特にリンクの周辺に含まれているページ、タイトルや、ページURLにキーワードが含まれているページです。

発リンクページのキーワードマッチも、もともと被リンク評価の重要な要素の一つでしたが、検索エンジンの精度の向上につれてキーワード解析の制度も上がるわけですから、この要因が強まる可能性は大きいと思います。

先日の松尾さんの「SEOに強いサテライトサイトを作成するための10個の法則」という記事でも、サテライトサイト、つまり被リンク元のページのタイトルタグやURLにキーワードを入れることを推奨していました。

松尾さんはその前にも「松子が語る、Yahoo&Googleに好かれそうなSEOテクニック」という記事で、リンク元のページのキーワードマッチの重要性を解説しています。

SEOmozのRandは、「Revisiting Themed Links (テーマ性のあるリンクを再考する)」という記事を書いています。

While personally, I’ve seen little evidence that an algorithm like this exists at Google, Yahoo! or MSN/Live (haven’t honestly done enough Bing investigation to feel confident making statements around their practices), I’m very curious to hear your thoughts.
「個人的には、ぼくはGoogleでも、ヤフーでもMSNでも、テーマ性のあるリンクが重要だという証拠はほとんどみたことが無い(というか、正直言うとBINGに関しては自信をもっていえるほどの調査はしていないけど)。みんながこれについてどう思っているかにとても関心がある。」

Randはテーマ性のあるリンクが特に重要だということは無いと書いていますが、マットカッツのページランクスカルプティングの記事のあとに、リンクのテーマ性にあえて注目するというのは、「何か関係性を感じてるのでは?」と思いました。

そして、リンクのテーマ性が重要だというのは、ぼくは「常識」と思ってたので、Randが否定的なのにちょっと驚きました。

SEOmozは、Beginner’s Guide to SEOの「Information Search Engines Can Trust」という項目で、検索エンジンがリンクを評価する指標の一つとして「Subject Matter of the Linking Page(リンクしているページのテーマ)」をあげていますが、これは、今回のRandのブログ記事とかみ合っていないですね。

根拠④:ヘッダー、フッター、サイドバー、コメント欄からのリンクより、本文中からのリンクの評価が高い
本文中のリンクとそれ以外のリンクをGoogleは同等に評価していないと思います。つまり、本文中に1つのリンク、サイドバーに1つのリンクがある場合、ページランクは均等に2等分されるわけではないはずです。仮にリンクジュースという意味では2等分されるとしても、リンクの価値は同じ評価ではないはずです。

サイトワイドのリンクの評価は下がっているし、フッターやサイドバーなどからHOMEというアンカーテキストでリンクしても、悪影響が無いことからも、本文以外からのリンクをGoogleは軽視していると思います。

仮説①のまとめ

上記の4つの根拠はどれも、単なるリンクジュースの受け渡しではなく、ページやリンクの質、リンクしているページ同士の関連性に重きをおくものです。

これは、先日鈴木さんのブログで解説された、マット・カッツによるWordPressブログのプレゼンテーションの中で出てきた、「関連性」や「評判」(スライド29~34)にあたる部分です。

リンクによるPRの分配ということだけでなく、こういった「関連性」や「評判」を今後Googleがより重要視していくのではないか、ということが考えられます。

疑問②に対する仮説

『nofollow属性をつけたリンクのリンクジュースが蒸発してしまうとしても、これまでのページランクスカルプティンで実施していたようなnofollowの使用はそれなりの有効性がある。』

根拠①:テーマの関連が無いページへリンクするときに、nofollowを使えばアンカーテキストを渡さないで済む。
テーマに関連性の無いページへの発リンクにnofollowを使うことで、そのサイトやページのテーマを一定に保つという目的は今後も果たせます。

これはサイト内のページへリンクする場合も、サイト外へリンクする場合にも言えることです。
(不信なサイトへのリンク、広告リンクも当然同じ理屈。)

nofollowによる、リンクジュースのコントロールは出来なくても、アンカーテキストをコントロールすることで、サイトやページのテーマを一定に保つことは、検索結果に良い影響を与えている可能性はあると思います。(アンカーテキストだけでなく、nofollowしてリンク自体を無効化することで、リンクしているページ同士の関連性も絶つことができるはずです。)

根拠②:nofollowで①のような関連性の無いサイトとの関係を絶つことで、テーマの関連する外部サイトや、サイト内のキーワード関連ページとのリンクをnoffollow無しですれば、それらのリンクの関連性が際立つ。

テーマの関連するサイトやページへの発リンクは、発リンクページのテーマを解析する一つの要因ですが、テーマの関連しないサイトやページへの発リンクにnofollowをつけることで、アンカーテキスト(もしくはリンク自体)を制御すると、テーマの関連するサイトとのリンクがより明確になる、ということが言えると思います。

サイト内でリンクジュースをコントロールするために行ってきたページランクスカルプティングが実は、アンカーテキストをコントロールして、サイト内の各ページの関連付けを明確にしていた可能性はあります。

つまり、nofollowによってリンクジュースを温存する効果はなくても、関連性のないページにリンクジュースを渡さないこと自体に意味があるのではないか?ということです。

根拠③:ヘッダー、フッター、サイドバー、コメント欄からのリンクより、本文中からのリンクの評価が高い
これは仮説①の根拠④にも書いたことですが、へッダー、フッター、サイドバー、コメント欄のリンクを、本文中のリンクより過小評価しているとしたら、もともとそれらに分配されたリンクジュースが少ないという可能性はあります。

例えば、本文中にリンク一つ、サイドバーにリンク一つでそのページのPRが10としたら、均等に分ければ、PR5づつになるけど、実はGoogleは本文中のリンクに9.9のリンクジュースを分配して、サイドバーのリンクには0.1だけしか分配しないというような分け方も、可能性としてあると思います。

もしくは、本文が70%、ヘッダーとフッターで5%づつ、サイドバーで10%、コメント欄10%というようにあらかじめリンクジュースの配当をパーセンテージで決めておけば、コメント欄のリンクが幾ら増えても、コメント欄の中でリンクが薄まるだけで、それ以外の場所のリンクは影響を受けないことになります。

マットカッツの記事に、Search Engine Land のダニーサリバンがコメントを残して、「nofollowリンクのリンクジュースが蒸発してしまうとしたら、コメントリンクにnofollowをつけている場合、コメントが多くなれば多くなるほど、それ以外のリンクの価値が低くなってしまう。」と嘆いています。

Say I have an article on a blog with 5 links in the editorial copy — some of those links leading back to other content within the blog that I hope to do well. Then I get 35 comments on the article, with each comment having a link back to the commenters’ sites. That’s 40 links in all. Let’s say this particular page has $20 in PageRank to spend. Each link gets 50 cents.

確かに、被リンク目的のスパムコメントを無くすために登場したnofollowタグですが、今度は、ライバルのページのリンク価値を下げるためのスパムコメントが可能になる、とダニーサリバンは言っているわけです。

でも、先ほど書いたように、本文と、コメント欄のリンクジュースの配当をあらかじめ決めておけば、コメントが幾ら増えても、本文中のリンク価値は下がらないことになります。

これは全くの仮説ですが、ぼくがGoogleならそういうリンクジュースの分配を考えますし、コメント欄のリンク価値がそれほど高くないことは既に確認されていることですから、ダニーサリバンが言うような心配は無いのではないかと思います。

追記 : これに関しては「コメント欄から流れ出るリンクジュースについての追記」でさらに詳しく解説しています。

ちなみに、SEOBookのアーロンウォールは、このダニーサリバンのコメント欄に関する心配に対して、以下のような理由から、コメントが増えるのは良いことだといっています。

1. Comments offer free relevant textual content that helps your pages rank for a wider array of related keywords.
「コメント欄はテーマに関連するテキストコンテンツが自動的に増えていく場所。」

2. Allowing some relevant outbound linking makes the page more useful, and makes some people slightly more likely to want to comment.
「コメント欄に、テーマの関連する発リンクが増えることは、そのページの有益性を上げてくれる。」

3. When you are competing for core keywords in big, competitive markets the SEO game comes down to industrial strength link building, public relations, social networking, branding, advertising, and other aspects of classical marketing.
「競争率の高いキーワードでSEOをする場合は特に、業界内からのリンク、広報活動、ソーシャルネットワーク、ブランド価値など、オーソドックスなマーケティング活動がものをいう。」

つまり、リンクジュース云々ではなく、テキストコンテンツや、リンクしているサイトとの関連性、ネットワークという視点の方がはるかに重要ということを言っています。

というわけで早速、Twitterでこの記事をつぶやいてネットワーク活動に参加してみる。 Twitter

以上、多少乱雑ではありますが、ページランク・スカルプティングをもとに、SEOで現在重要なことは何か?という部分を考えてみました。

最後に、コメント頂いた、鷲見さんの記事の文末が、SEOに取り組むにあたっての姿勢を的確に表現していると思いましたので、引用させていただきます。

何度も言いますが大事なのは、このブログの記事を含め、誰かが何かの実験&検証を行い、それに基づいて結論を出した時に、そこから何をすべきかを決める、

* 自分でも再検証してみる
* その事例に習い突き進む
* それは嘘だと切り捨てる

の決断をするための知識が SEM の世界では必要なのではないかと感じています。

最終的に、決断して行動するのはあなた自身です。そして、その成果を得るのもあなた自身です。

P.S.

Matt Cutts 氏自身も、こういった話で盛り上がるのが好きだと話していたことがありますし、検索のアルゴリズムを作ってる人たちと、こんな感じで意見を言い合えること自体が素敵だと思います。

アルゴリズムを公開して、フィードバックをもらって、そしてまた改善するというスタイルが、Google の現在の地位を確立する理由にもなっているのでしょう。
ページランク スカルプティング(PageRank sculpting)騒動から学ぶ

この記事をつぶやく! (*゚▽゚)ノ”

Posted 2009-06-19 (Fri) 6:15  Updated 2010-01-03 (Sun) 19:15
Category: Google 対策   Tag: ,

Comments

  1. はじめまして。

    Twitter から、こちらに来ました。

    Sphinnや鈴木さんから、清音さんのことは気になってました。

    御迷惑でなければ今後、私のブログで紹介できる記事がありましたら、
    どんどん紹介させていただきます。

    ありがとうございました。

  2. 清音 says:

    ありがとうございます。どんどん紹介して下さいませ。

    ぼくもアドワーズラボ、Googleリーダーに入れて読んでますよ。


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