客は、「あんたそんなに頼んで、ほんとに全部食べられるの?!」っておかーちゃんに言われてる子供と一緒。

客は、「あんたそんなに頼んで、ほんとに全部食べられるの?!」っておかーちゃんに言われてる子供と一緒。

心理とマーケティング

 Sphinn に心理学とマーケティングに関して解説した記事が投稿されていた。

 その記事にはこんなことが書いてある。

「我々は自分の考えで何気なく行動しているようでも、実は社会生活における行動の多くはモノに左右されているのだ。 例えば、スーパーや百貨店などを訪れた際、我々は何気なく商品を見て歩くことがある。確かに店員や第三者に促されてではなく、自分の何気ない意志で商品を見ながら店内を巡回している。しかし実際の所はどうであろうか? 何気なく、特別に意識することなく巡回しているそのルートは、実際は店舗側が周到に計算した設計に沿って歩を進めているのである。」
(「心理学を融合することで最適なWebマーケティングを導きだす」, MarkeZine, 原田学史, 11/18/2008)

 そう、客は必ずしも、自分の「意思」や、「気持ち」を把握しているわけでは無いということだ。

 よく「お客様の声に耳を傾けろ!」なんて言うけど、それを鵜呑みにして、馬鹿正直に客の言うとおりにビジネスをやっても成功しない。

 ぼくは、大学を出て以来ずっと企業周りの営業をしている。だから、営業、マーケティングを通して客の心理というのは常に考えてきた。

 そんなわけで、今日はちょっといつもと毛色の違う話しを書いてみたくなった。(ついでに文体も変えてみた。)

「たまには甘えるのも必要だよ。」

 企業が相手と言っても、実際の相手は担当者の人間だ。だから、ぼくは、相手の気分を読みながら時にはビジネスライクにテキパキと対応したり、時には泣きを入れたり、時にはワザと(たまにマジで)ドジを踏んで「しょうがないけどカワイイ奴だ」的なものを演出してみたり、いろいろとやるもんだ。

 そんなこともしながら、担当者と仲良くなってくると、色々と営業の仕方なんかをアドバイスしてくれたりもする。

 「清音君、キミは良く出来るけど、たまにはお客に甘える営業をしたっていいんだよ。キミならよそでも結構気に入ってもらってんだろうから、それなら、たまにはお客さんに甘えて『これ買ってくださいよ~、今月ちょっと売上げ足りなんですよぉ』みたいな事いうのもいいもんだよ。お客さんだって、そういうの言われて悪い気はしないんだから。」みたいなアドバイスを頂く。

 そんなことは知っている。

客は優越感に浸りたいだけ

 さっきも書いたとおり、ぼくは、泣きもいれるし、甘えもする、わざとドジを踏むことさえある。そういう事をすると客が喜ぶのを知っているからだ。

 なぜ喜ぶかと言えば、営業が下手にでれば客は「優越感に浸れる」からだ。 ちょっとしたドジを踏んで、相手が「カワイイ奴だ」と思うのも、相対的に客が上になれるからだ。

 ぼくが、そういうことを分かっていて、実際に相手が優越感に浸れるように、甘えたりなんだりしてるのに、客が「もっと甘えていいんだよ」とわざわざ言ってくるのはなぜか?

 それは、ぼくが、やり過ぎていないから。

客は腹が減ってるくらいがちょうどいい

 これは、腹の隙具合に例えるとわかりやすい。

 ものすごく空腹のときにレストランなんかに行くと、あれも食べたい、これも食べたいって、いろんなものを注文する。そして食べ過ぎる。ものすごく。そんだけ食べ過ぎると、「あぁ、もしばらく食いもん見たくもない」になる。

 客に対する「甘え」も全くおんなじだ。

 客が「もっと甘えていいんだよ」って言っている、思っている、ということはまだ営業である自分を「欲してる」(相手が男だとちょっと気持ち悪い言い方だが)ということだ。

 営業と客はこのくらいがちょうどいい。

 常に、ちょっと求められている状態なら、こっちが本当に売らないといけないときにものすごく売りやすいから。

 では、客の言うことを鵜呑みにして「もっと甘えちゃう」とどうなるか。

 当然ウザがられる。

 企業の担当者(バイヤー)はサラリーマンだ。「もっと甘えていんだよ」なんて偉そうなことを言ったって、結局は自分の身を削ってまで、「甘え」に応えてはくれない(100人中99人か、1,000人中999人はコレ)。自分の成績を落としてまで、上司からの評価を下げてまでこっちの「甘え」に付き合ってくれるわけが無い。ちょっと売上が下がったり、ちょっと在庫が多くなったりしたら、「買って下さいよ~」って泣きを入れたって、「うちも今月厳しいのよ~、上にも買いを控えろって言われてるからさー」で終わり。(えっ、じゃぁ、いつ甘えんだい?あんたの会社の業績がいいときかい?いいときは甘えなくたって買ってくれるじゃん!)

 ここで、粘って、本当に、甘えようとすると、「うわっ、こいつウゼー」、になってしまう。

 つまり、相手を「お腹いっぱい」にしちゃうということは、「もうキミの顔はみたくない」にしてしまうということ。

 「じゃ、相手が受け入れられるギリギリのところまで、甘えればいいじゃないか」と思うかもしれない。

 もう、やってるんだって。(- -;)

客は腹八分目に気づいていない

 ぼくは、ちょいちょい甘えてる。だから、ホントはもう、客は腹八分目なんだ。

 でも客は自分がまだ食べれると思ってる。

 そういう意味では、「あんたそんなたのんで、ほんとに全部食べられるの?!」っておかーちゃんに言われてる子供と一緒。

 営業もマーケティングも心理戦だ。

 心理戦では「自分が本当は何をしているか」ってことを相手に気づかれたら、意味が無い。気づかれた時点で、それはもう心理戦じゃない。

 ぼくが泣きをいれて、相手が優越感に浸ってたとしても、「ぼくは、あなたを優越感に浸らせるために甘えているんですよ」ってことがばれたら意味がない。

 それどころか、相手は「ぼくが甘えている」ということすら気づく必要は無い。ただただ、優越感に浸ってくれれば、それでいい。

 気づいてないから、「もっと甘えていんだよ」って言ってくる。

 心理戦に勝った瞬間だ。

客が食べられる「量」をちゃんと把握するのが出来る営業だ

 客が「あーしろ、こーしろ」と言ってくるということは、自分に対して何かを求めている証拠だっていうこと。

 少なくとも、飽きられてはいない。

 本当に、自分が出来ていない事に対して、客にそういうふうに言われているなら勿論、改善が必要なのは言うまでも無い。

 でも、「いや、この部分は自分は結構やってるはずだぞ、ホントにこれ以上やっても大丈夫なのか?」と自分のやっている量と、相手が受け取れる量を天秤にかけるのは重要だ。

 そうやって、自分のやっていることを客観的に把握出来ている営業は、客の言うことに振り回され、失敗することも無い。

ちょっと話は変りますが...

 「客の欲している量」ということで、ちょっと思い出したことがある。

 先日、大規模なマーケティングを展開したFrank Kernという有名なマーケッターの「Mass Control」という、マーケティングのマンスリー教材がある。月額297ドルという高額な教材。

 Frankがこのマーケティングの教材を売るために、どんなマーケティングを展開したかと言えば、最初の一ヶ月目の教材は無料で、さらに特典として、DVDが9枚、特別マニュアル、特別ブックレットが付いてくる。全て無料(郵送料のみ負担)。

 つまり、一ヶ月目は無料で、大盤振る舞いの特典付きで全部あげます。気に入ったら2ヶ月目から毎月297ドル払ってください、というもの。

 もちろん、いつでも退会できる。

 だから、最初の月だけ試してみて、即退会すれば、最初に送られてい来る上記の9枚のDVDも初回マンスリー教材も、全て手元に残る。払ったのは送料だけ。

 だから、ぼくは前にこのことを記事にしたときに、「果たして何人が月額297ドルを払って、2ヶ月目以降に残るか見ものだ」、と書いた。

 その答えが出たようだ。

 結果は、かなり多くの人が、退会したらしい。

 Frank Kernは率直に失敗を認め、ブログで理由をこう語っている。

「退会した、多くの人が、その理由を『最初に送られてきた無料教材の量が多すぎて、DVD9枚を一ヶ月で見るだけでも大変。2ヶ月目の教材が来るまでに見終わらない』と言っていた。」

 として、「多く与えすぎた事の失敗」だと言っている。

 一ヶ月目で、満足しすぎると、「2ヶ月目はもうイイや」って確かになる。

 「お客の欲しがる量」ってことで見ていくと、確かにこれも理由の一つかもしれない。

 でも、さらに突っ込んで、Frank Kernのお客さんが言ったとされる、「無料教材の量が多すぎて」っていうの自体、「本当か?」と疑ってみることも出来る。

 お客さんは、そりゃ退会の理由を聞かれれば、当たり障りの無い、もっともらしい理由をつけるもんだ。

 「無料のDVD9枚が欲しかっただけで、最初から、月額297ドルも払う気ねーよ、バーカ」とは言わない。

 アンケートとか、世論調査があてにならない理由はこれだ。

 答える時に、自分がどう見られるかを考える。本音は出て来にくいものだ。

話がまとまらなくなってきたので、まとめ

 最後のほう、はなしが、ゴチャゴチャしましたが、要するに、

  • 客は自分自身の気持ちを本当に、客観的に理解してモノを言っているわけではない。
  • また、理解した上で、本音を隠すこともある。
  • だから、客の話を聞くのは大事だけど、あんまり耳を傾けすぎたらダメ。
  • 自分の軸をちゃんともって、自分のやってきたことと、客の心理を客観的に把握する。
  • そして、「心理戦は気づかれたらオシマイ」ということを常に頭に入れておく。

 客の言うことを鵜呑みにして、自分がブレたら、営業もマーケティングも失敗します。

 ちなみに、もちろん、ぼくが、失敗していないわけではありません。

この記事をつぶやく! (*゚▽゚)ノ”

Posted 2008-11-21 (Fri) 14:18  Updated 2010-01-03 (Sun) 19:16
Category: たんなる日記   Tag: , ,

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